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マイスターツーリズム

公開日
2012年09月02日

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 ここ大川市では、昔から『いぐさ』の栽培が盛んに行われています。日本の文化を支えてきた『いぐさ』の効能は、独特な香りによるリラックス効果だけではありません。湿度が高い時には空気中の水分を吸い、空気が乾燥しているときには蓄えた水分を室内に出す湿度調節作用や空気の浄化作用、夏に涼しく冬に温かいといった保温性など、『いぐさ』は日本の気候に適し優れた素材であることが知られています。
 
 今回はそんな『いぐさ』を使って花ござづくりをされている石橋勝義さんにお話を伺いました。
 
 いぐさ農家の多くは、いぐさの生産を行う生産者でありながら、花ござづくりまでを担う職人でもあります。石橋さんもそのひとりです。石橋さんは小さい時から母親が手織り花ござを作っているのを間近で見て育ちました。
 花ござの織り方には、紋織(もんおり)、袋織(ふくろおり)など様々な種類がありますが、その中でも『掛川織』は花ござの最高級品と言われており、その重厚優美な独特の織り方は、福岡県の伝統工芸・無形文化財にも指定されています。石橋さんは主に『掛川織』の花ござを製造しています。『掛川織』は約3cmの大きな織り目と約1cmの小さな織り目を交互に繰り返し、緯(よこ)に織り込むいぐさの変化で模様を作り出します。石橋さんが花ござづくりを始めたのは、45年前。いぐさ問屋から“花ござを作ってくれないか”と頼まれたのがきっかけで、花ござの織機を導入しました。
 

 石橋さんは花ござを製造する以前、様々な職業を経験されたそうです。海苔漁師、問屋、酒屋・・・あらゆる職種を経験することで、人との接し方を学んだ、と語ります。
 また、花筵部門で農林水産大臣賞や、全国の『い草い製品品評会』など、数々の作品展で賞を受賞した経験があります。「自分の花ござが全国に認められたときはものすごくうれしかった」とうれしそうに話してくれました。福岡をはじめ各地で自分の個展を開いたこともあります。見に来ていただいたお客様から直接生の声をもらい、とても貴重な体験になったそうです。
 あるとき、福岡のお客様から“自分の犬が石橋さんの花ござの上でしか寝ない。犬も気に入っている!”と言われたそうです。「人との出会い、人との関わりを大事にしたい」と語る石橋さんが作ったものだからこそ、人だけでなく動物にも愛されるのだということを教えてくれる、実に微笑ましいエピソードです。
 また、あるお客様に卸したときは、”花ござはあんなにもつものですか?”と大変驚かれたそうです。石橋さんの作る花ござは10年もつと言われています。「自分のところで作ったモノを使ってもらったらわかる!」と石橋さんが言い切るのは、花ござ作りに対する自信があるからです。「最近は利益を追求する人も多いが、(自分は)人としてできない」と石橋さん。 いぐさだけでなく、染料や縦糸にも自然素材にこだわっています。そのぶん単価が上がり、利益も少なくなるそうですが、「いいものをつくるという思いを曲げない」これも、お客様のことを第一に考える石橋さんのこだわりです。
 また、常に新しいデザインにも挑戦し、毎年20種類の花ござの試作を作り、その中からその年の新作を選びます。普段の生活中でも、花ござの良いデザインがないか探求しています。「いつも花ござのことを考えるのは職業病」と語るのはそれだけ花ござに対する思いが強いからです。
 

石橋さんのモノづくりへのこだわり

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