HOMEの中のマイスターツーリズムの中のマイスターツーリズム一覧の中のマイスターツーリズム第1回

マイスターツーリズム

公開日
2011年04月01日

バックナンバーを見る

 植物・貝がら・昆虫・動物など、自然界のあらゆるものを切り取り、形どられた木の作品。
 これら全てが、彫刻刀1本で作られたといえば誰もが驚くはずです。制作したのは、厚生労働大臣より卓越した技能者にむけて贈られる「現代の名工」を受章された岳野博昭さん。
 
今回は、岳野さんの仕事ぶりやこれまでの経歴、作品作りへの思いをご紹介します。

 大川の観光名所、昇開橋からほど近くにある大川一刀彫館が岳野さんの工房。木の香り漂う、わずか1畳ほどのスペースが岳野さんの仕事場です。工房内は、彫刻刀を彫り進める音だけが響く静寂の空間。まるで、岳野さんと木がヒソヒソ話をしているような秘密めいた時間がそこには流れています。

 「木と会話しながらの創作活動」。岳野さんの仕事や作品を拝見すると、そんな感想を抱きます。岳野さん自身からも木の香りが漂い、これまでの長い時間を木と共に過ごしてきた証のようです。

 大川一刀彫は、材料に九州産の楠や栓、桧などを使用。木それぞれが持つ木目の美を最大限引き出し、平刀を多用した直線的な刀さばきが特徴です。
 時に繊細に、時に滑らかに、時に豪快に刀1本で表現された作品は息を呑む美しさで、土や金属、布などとは異なる素朴な趣があります。岳野さんは木の素材を活かし、器をはじめ、花台、オブジェ、壁面用パネルやレリーフなどの作品を多数発表しています。
 大川の伝統ある彫刻欄間の世界へ入門し、そこから美術工芸への道を歩んだ岳野さん。現在にいたるまでの経緯を伺いました。
 
 長崎県西海市出身の岳野さん。幼少より物作りが大好きな少年で、迷わず手仕事の道を職業として選びました。約55年前に大川へ移り、旧柳川藩の大工として多くの建築彫刻に携わった黒田多吉などを輩出し、大川彫刻の礎を築いた鐘ヶ江一門、鐘ヶ江義雄氏のもとで彫刻欄間の修行を積みました。その後、佐世保で社寺彫刻を学び、人と彫刻との出会いを求めて九州中を無銭旅行しながら技術を磨いたといいます。

 その後、大川にて独立。しかし、折しもこの時期は日本の住宅が和風建築から洋風建築に移り変わり、欄間の需要が減っていく時代にありました。そこから、技から感性の世界へ足を踏み入れます。岳野さんは思い切って、木工の町・大川にて美術工芸家として活動を始めたのです。

 当初は、さまざまな美術展に出品したり、大学の教授のもとへ作品を持ち込んだりしながら批評され、修正を加え、また作るを何度も繰り返したといいいます。そのように試行錯誤しながら独自の美の世界を確立させ、昭和53年に日本美術展覧会初入選。以降12回の入選を数えて30年間、さまざまな展覧会にて入選を繰り返しています。
 現在、72歳。現役で作品作りに取り組む岳野さんのパワーの源を伺いました。「日本全国どこにもないものを作りたい。その探求心で仕事をしている」と岳野さん。木の素朴な美しさに魅せられて55年。その飽くなき探求心で、日本の自然を鮮やかに切り出す創作活動はこれからも続いていきます。

Information

住所 〒831-0005 大川市大字向島2466番地1
電話番号・FAX番号 0944ー87-3356
営業時間 8:00~19:00
定休日 日曜日
駐車場 筑後川昇開橋駐車場利用
一覧へ戻る
ページトップへ